Chair Cushion Hunting Jacket
―「獲る」対象の選択。
ハンティングジャケット。
それは狩猟のための機能性や丈夫さを重視し、豊富なポケットを備えているのが特徴だ。

そこに、もう一手を加えてみる。
後身頃(衣服の背中側)をチェスターフィールドチェアに見立て、
クッション性を持たせる。
中綿によって背中が暖かくなることはもちろん、
用途はここでさらに拡張された。

室内に入り、ジャケットを脱ぐ。
通常であればハンガーに掛けるだろう。
しかし、もしハンガーがなく、そこに椅子があったなら──
背もたれに"着せるように"掛ける人は決して少なくないはず。
その日常的な動作を、あえて"逆にしてみる"という視点。

このジャケットにはサイドファスナーが備えられている。
運動量の調整やデザイン上の理由だけでなく、
椅子に掛けるという動作のための仕掛けでもある。
サイドファスナーを開き、いつもとは"逆に"掛けてみることで
ジャケットはチェアクッションの形へと変化する。
また、横方向に走るステッチによって腰の位置で自然に折れ
座り心地も高められている。
気づけば、自分が腰掛けている場所が
衣服の後身頃であることを忘れるほど
どんな椅子も、さらなる心地よさを得ることになる。

獲物を「獲る」ための装いが、
休息を「獲る」ための機能へと転じる設計。
Issue 2では遊動生活の視点を取り入れ、
現代の生活に縛られすぎず、心の中に自由な選択肢を持つことが
新たな可能性をもたらすのではないか、という考え方を提案している。
そこから生まれた、気の利いた機能の転換。
今日は、何をどうする?
選択しよう。
